ルーツミュージックスタディ

■「一億三千万人のためのジャズ史講座」/第2回

エドワード・ジョンソン(DJ / コラムニスト)
エドワードさんは当HPに縁のある大先輩からお引き合わせしてもらったDJでコラムニスト。
6年間日本で暮らしたあと、いまは在英で好きなレコード相手に余生を生きると豪語する変わったひとです。多くのひとにジャズを理解してもらえるような一風変わったジ ャ ズ史講座、楽しみです。
エドワード・ジョンソン



第二回【スクウェアな音を聴く人−A面】



スクウェアな音っていうと、いまではスウィングだと言われています。
グレン・ミラーなんかの曲がそう。そうですねぇ「ムーンライト・セレナーデ」なんかをそういう音だとぼくの友人のDJは、吐いて捨てるように言います。

良い友達なのですが、どうもこの辺は可笑しいと思います。

そこんところをぼくは今回お話しすることにしましょうか。
さて、ぼくの友人はどこにそういう反感を持ったのか。質問です、答えてください。
「                              」
いろいろ意見が出たようですね。大方の意見として、皆さんは、きっとビッグバンドだったとか、イージーリスニングの類だからっていうものを提示されたかも知れません。

いいでしょう。確かにその答はあっています。ですが正解はこうです。

答え1、友人は、マイノリティである。だから、白人の白っぽいジャズは嫌い。

答え2、彼は現在形でしかそういった音を捉えることしかできない。大系上のジャズを知らない。

答え3、その時虫の居所が悪く、しかも別れた彼女がラリった時に聴く曲が「茶色の小瓶」だったから。

なのです。白っぽいジャズって言うのを嫌うマイノリティ層は多いのが現実です。しかも、人種問題を別として、こういった表現で白人のジャズを拒否する向きは日本人の「自称通人」に多いのも真実です。

そして、大系上のジャズを知らないと言うのは、白人ジャズというのが発表当時、ものすごくラジカルな音楽的人種融合の動きのひとつだったということが抜け落ちていると言うことです。
1の理由で嫌う人々の意識では「遅れた融合」だと感じてしまうのでしょうが、これは誤解です。かなり「不良」な音楽であったのです、ミラーやベニー・グッドマンは。

その当時、黒人街と白人居住区は線引きなき差別によって別れていたのですし、ジャズやブルースを白人が嗜好すること自体がかなり先鋭的なものだったのですよ。その時分に、ジャズが白人によって始まったのはエルビスのロック革命と同じくジャズ革命と言っていいことだったのです。

ミラーやグッドマンの伝記映画が現在はDVDで見られます。その背景をなかなか巧くさばいていて、ちょっとした見物です。

今回は、ぼくの体調が優れないためここまでにさせていただいて(Kさん、御免なさいネ)、この映画についてさらに突っ込もうと思います。

山辺健史 岸川真

(c) 2002 Root's Music Study