ルーツミュージックスタディ

■「もしも、ボクにもピアノが弾けたなら」/第2回

山辺健史(ルポライター)
山辺健史さんは、現在雑誌や映画のパンフレットなどで活躍中のルポライター。
彼は「知る人ぞ知る」ジャズ愛好家で自作テープ・マニアでもあります。今回から愛する彼女さんのため、聴く人から弾く人へ脱皮にチャレンジします。はてさてどうなることやら楽しみです。
山辺健史



第2回 <準備篇> 



●某月某日
 起きたら、正午過ぎ。相変わらずの不規則な生活が続く。昨日の夜飲んだ酒のせいか、頭がぼんやりしている。ふらふらとパソコンを開くとルーツミュージックスタディ(以下RMS)のOさんからの返事が来ていた。
 早速、RMS講習ページ第1巻用のユーザーIDとパスワードを郵送したとのこと。安全性に考えてだという。ネットの世界はまだまだ、セキュリティ万全とはいかないようだ。とにかく、それを待ってログインすることにする。
 一日中ぼーっとしていた。25過ぎてめっきり酒が次の日に残るようになった。体力の低下を感じる今日この頃。



●某月某日
 後輩のバンドを見に大久保のライブハウスに行く。ロックの大音量に耳をやられて会場を出る。自宅に戻ると、郵便受けに大きな封筒。RMSからだ。勇んで封筒を開けると、中には、ユーザーIDとパスワード、そして、楽譜が2曲分入っている。申し込んだ翌日に届くとは、手早い!
 いざ楽譜を見ると、ジャズを習うのだという実感がひしひしと湧きあがる。
「IT‘S A SIN TO TELL A LIE嘘は罪」と「AUTUM LEAVES枯葉」という曲。五線譜の上におたまじゃくしが踊っている。何ヶ月後にこれが読めて弾けるようになるのか、と思わず気が遠くなる。気を取りなおして、同封のアドレスを元に早速RMSのホームページにアクセスした。
 じわじわと文字が浮かんでくる。落ちつけ、と自分に言い聞かせ、煙草に火を点ける。
 扉のページには「オンラインジャズピアノ通信講座」の文字。
「Read Me」「Enter」「Get Flash Player」
の三つのボタン。
 もちろんEnter!…が、押しても、画面が飛ばない。「Read Me」も同様、何度も押すがウンともスンとも言わないのだ。画像用のアプリケーションが無いためかと思い、ならばと「Get Flash Player」をクリック。
 ここは入れたが、今度はダウンロードが上手く行かない。
「1〜2分でFlash Playerの画像が浮かびます。それが出たら、インストール終了」
らしいが、5分10分しても画は浮かばず、僕は痺れを切らした。作業は4、50分に及んだが、どうしても開けない。扉ページのまま、中には入れないのだ。
 うーむ、早くも厳しい展開だ。今日はもう遅いので近々に、Oさんに聞いてみよう。


●某月某日
 朝、OさんとTEL。
「 Enterに入れないんです。」
「そんなはずはないんだけどなぁ」
とOさんは、電話口の向こうで困惑の様子。僕のパソコン設定を話し合う。
 僕は電話用のアナログ回線で、未だにインターネットをし続けている。始めた時から同じ方式、同じ設定のWINDOW‘S95だ。近頃さかんなブロードバンド回線キャンペーンも気になりはしながら、素通りしている。
「ダイアルアップ方式でも、別にできない事もないけど、情報量が多いから、ダウンロードに時間がかかりますよ。」
 なるほど。快適な環境で受講するためには、パソコン自体の見直しも必要なのか?
 編集のK氏も「ADSLにした方がいいよ。すごく速いし、時代はもう、そうなってるんだから…。」
 別に、意固地になり、買えないわけでもないが、元来機械に弱く、パソコンなんてメール、インターネット検索と、文書作成にしか使わなかった僕。今までは、それでなんの不自由もなかった。これを機会にブロードバンド対応の回線に変えてみようか、と考える。確かに、ダウンロードやインストールの時に、ぼーっと画面の前に座っている虚しさは如何ともしがたい…。煙草の量が増えるわけだ。
 待機ストレスのないパソコン。
 憧れはするが、ADALとISDNの違いすらわからない!
 結局、この日は出掛けだったので、もう少し設定を変えてみることにして、電話を終えた。「ジャズ」に到達するまでの苦闘は続く。

エドワード・ジョンソン 岸川真

(c) 2002 Root's Music Study